shall の用法
shall の用法(Usage of shall)
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“shall“は比較的古風な英語です。特にアメリカ英語では、ビジネス文書以外では使用する頻度は非常に少ないです。イギリス英語でも、使用は減ってきています。
1. 予測(単純未来)
“shall” の元の意味は、未来の予測です。文法的には単純未来といいます。「だろう」という意味で、イギリス英語では使われますが、アメリカ英語では通常は”will” を使用します。
例えば
○ I shall still be working in the factory this weekend.
「今週は週末になってもまだ工場で仕事をしているでしょう。」
という使い方です。
2.話者の意思を表わす
主語が2人称や3人称の場合、”shall” は、書き手や話し手の意思を表わします。すなわち、「・・・させよう」、「・・・することになるだろう」という意味になります。
○ You shall have this booklet.
「あなたに、このパンフレットを差し上げよう」
この例文は、書き手、話し手の意思により、「相手がこのパンフレットを入手する。」ことになるので、言い換えると、
○ I will give you this booklet.
と、ほぼ同じ意味になります。ただし、You shall ….. の英文は、文語的な響きがあります。
主語が1人称の場合の話者の意思については、「・・・するつもりだ」となりますが、疑問文の”Shall I (we)…..?” は「・・・しましょうか」という、相手の意図や意志の有無を確かめる質問なので、話者の意思を示すwillを使うことはありません。この場合は”should” が使われます。
ジェニファー・ロペスがチャーミングだった、”Shall we dance?” はその例で、「踊りませんか」と、相手に尋ねる表現で使用されています。最も、この映画の舞台は社交ダンスですので、やはり、少し気取った言い方といえます。普通だったら、
○ Let’s dance.
ですよね。
“should” の使い方の例は、
○ Shall I send you the offprint of my article?
「私の論文の抜き刷りを送りましょうか。」
がありますが、アメリカ英語では、
○ Should I send you the offprint of my article?
となるのが、普通だと思います。
3. 契約書で使用
「命令・規定を表わして、~すべきである」という意味で使用されます。英文仕様書では、”shall” は、「法的強制力」を持つ場合に使用されます。仕様書で、”shall” を用いて表されたものは、契約上の債務を生じることになり、契約の当事者が、法的な義務として履行の強制を意図しており、履行されない場合は契約違反になります。
MIL規格では、”shall” の用法を、「仕様書で拘束力をもつ規定を表現するには、”shall” を用いる。」と規定しているそうです。
プラント仕様書の例文です。
○ Ground wires shall be standard stranded bare copper, 80 mm2 for main grounds.
「接地線は標準裸銅より線とし、主接地については80 mm2 とする。」
参考文献
英語ライティングルールブック デイヴィッド・セイン DHC
英文仕様書_読解・作成の手引き 松本俊次 日刊工業新聞社
ORG: 2017/9/18